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IIJが「全国情シス実態調査2025」を発表!情シス個人の生存戦略に関わるデータはなに?

株式会社インターネットイニシアティブは、2025年8月に調査資料「全国情シス実態調査2025」を公開しました。本調査資料は、その名の通り、全国の情シス部門の実態を明らかにするものですが、”情シス個人”の視点で読み替えると、キャリアの築き方や市場価値の高め方に直結するヒントが多数含まれています。

今回の情シスの「目」ニュースでは、本調査資料をベースに情シス個人の生存戦略について考察していきます。ご自身の方向性の再定義や、学習計画づくりなどにご活用いただければ幸いです。

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■情シスの「目」ニュース「キャッチアップポイント」

①IIJの調査資料「全国情シス実態調査2025」では、業務内容や課題、年収、スキル志向など、情シス部門の実態が明らかにされている
②本調査資料を情シス個人の視点で読み替えると、自走力のある人材が強い、セキュリティと生成AIを扱える人材が強いなど、生存戦略が見えてくる
③本調査資料にあるデータ「今後、強化・習得したいスキル」は自身の強化・習得すべきスキルを考える上で参考になる

■情シスの「目」ニュースとは?

月曜日の朝にお送りする「情シス『目』ニュース」では、日々発信されるさまざまなトピックスを情シス・エンジニアの方々向けに「再解釈」した情報を掲載中。AI、働き方、経済など幅広いニュースをピックアップし、業務に役立つほか、つい同僚に話したくなる面白い話題まで身近で自分事化しやすくお届けします。

         

IIJの「全国情シス実態調査2025」は情シス個人の視点でも役立つ

インターネット接続サービスやシステムインテグレーションなど、幅広いITサービスを展開する株式会社インターネットイニシアティブ(以下、「IIJ」とする)は、2025年8月に調査資料「全国情シス実態調査2025」を公開しました。

※IIJは、情シス部門を対象にさまざまな角度からの調査を継続的に実施しており、この「全国情シス実態調査」も2021年から毎年実施しています。

「全国情シス実態調査2025」の調査期間は2025年6月の16日から23日で、有効回答件数は488件です。業務内容や各業務の時間配分、課題とその対応策、年収、スキル志向など、情シスの実態をデータにより可視化しています。こうした調査資料は、業界の現状や方向性をつかむ上で非常に役立ちます。

さらに、この「全国情シス実態調査2025」に掲載されているデータを”情シス個人”の視点で読み替えると、キャリアの築き方や市場価値の高め方に直結するヒントが多数見えてきます。「キャリア形成のポイントは何か」「今後どんなスキルを磨くべきか」――そんな問いに対する手がかりを与えてくれるのです。

もちろん、本調査資料が示すのは、あくまで情シスの「平均像」や「傾向」であって、個々の状況にそのまま当てはまらない場合もあります。しかし、その前提を踏まえたうえで見れば、非常に有益な資料です。

また、別の視点からいえば、全体的な平均像・傾向と自社(あるいは自身)のギャップを把握できる資料でもあります。

「全国情シス実態調査2025」から見えた――情シス4つの生存戦略

では、実際に「全国情シス実態調査2025」に掲載されたデータを情シス個人の視点で読み替えると、どのような戦略が見えてくるのでしょうか。ここで、特に注目すべき4つの戦略を紹介します。

戦略①:自走力を高める

「全国情シス実態調査2025」によると、情シス部門の課題のトップ2は「人員不足」と「人材育成の遅れ」です。あなたが所属する情シス部門ではどうでしょうか。人材不足については業界全体で共通している傾向がありますので、たとえ今は問題がなくても将来的に大きな課題となる可能性があります。

とはいえ、これは裏を返せば、情シス個人にとってはチャンスとみることもできます。「人員不足」と「人材育成の遅れ」が課題であるということは、「自ら学び成長できる人材」や「一人で多くの業務をこなせる人材」がより一層求められているということです。そうした人材は職場で重宝され、市場価値も高まっていくでしょう。

※出展:IIJ「全国情シス実態調査2025」

戦略②:セキュリティと生成AIを重要視する

「全国情シス実態調査2025」によると、情シス部門としての重要度が昨年よりも上がった項目のトップ2は「セキュリティ強化」と「生成AIの活用」です。3位以下を大きく引き離しています。あなたが所属する情シス部門でも似たような傾向があるのではないでしょうか。スキルを磨くなら、このセキュリティと生成AIを中核に据えるのが効果的といえます。

なお、セキュリティと生成AIがいずれも汎用性の高いスキルである点にも注目したいところです。生成AIは、情シスの業務にとどまらず、さまざまな職種の業務の効率化に寄与します。一方でセキュリティは、情報化が進む現代社会において年々重要性を増しており、そのスキルを持つ人材はどの職場でも求められています。

※出展:IIJ「全国情シス実態調査2025」

戦略③:計画的に自己投資に励む

「全国情シス実態調査2025」のデータを見る限り、情シスの年収水準は他職種と比べて高い傾向があります。年収水準が高ければそれだけ自己投資がしやすいですし、同時に回収もしやすいでしょう。計画的に行うだけの価値があります。

なお、「努力していて、成果も出しているのに、そこまでの年収水準にない」と感じる場合は、転職を検討するのも一つの手です。明らかに水準から低い場合、経営状態や組織構造に問題がある可能性も考えられます。※出展:IIJ「全国情シス実態調査2025」

※出展:IIJ「全国情シス実態調査2025」

戦略④:業界のトレンドを押さえる

「全国情シス実態調査2025」に掲載されている調査データ「今後、強化・習得したいスキル」は参考になります。実際に需要があるスキルとは必ずしも一致しないものの、業界のトレンドや世間の関心事などが反映されていますので、一通り押さえておくとよいでしょう。

基本的に情シス部門は他社の情シス部門とのつながりを持ちにくく、外部の動向が見えづらい立場にありますが、こうした調査資料はその情報ギャップを埋めるのに役立ちます。

※出展:IIJ「全国情シス実態調査2025」

「全国情シス実態調査2025」も参考になる――自身の強化・習得すべきスキル

前のセクションで、「自走力を高める」「計画的に自己投資に励む」といった戦略についてお伝えしました。ありきたりのことではありますが、情シスという職種の場合、非常に有効です。

では、次に気になるのが、「具体的にどんなスキルを磨いていくべきか」ではないでしょうか。

これについては、前のセクションでも取り上げた調査データ「今後、強化・習得したいスキル」を参考にしてもよいでしょう。ただし、これはあくまで回答者の希望であり、実際に需要のあるスキルではないことには注意が必要です。「みんなが〇〇を学ぶから自分も学ばなくてはならない」などと考える必要はありません。

また、前のセクションで「セキュリティと生成AIを中核に据えるのが効果的」とお伝えしましたが、これについても状況によって変わります。大切なのは自身にとって最適なスキルを選ぶことです。その答えは所属する組織や自身の適性などにより異なります。

たとえば、成長や革新を重視する企業の場合は、IT戦略や経営層連携に関するスキルが求められる傾向がありますし、調査データ「今後、強化・習得したいスキル」の回答では見られないアジャイル開発やDevOpsなども鍵となってくるでしょう。一方で、安定稼働を重視する企業の場合は、ITインフラやセキュリティなどに関するスキルが求められる傾向があります。

また、外注が多めの企業の場合は、マネジメントやコスト管理などに関するスキルが求められる傾向があります。一方で、内製が多めの企業の場合は、プログラミングやクラウドなどに関するスキルを求められる傾向がありますし、調査データ「今後、強化・習得したいスキル」の回答では見られないローコード/ノーコードなども鍵となってくるでしょう。

もちろん、所属する組織の事情とは別に、ご自身の興味を持てるスキルや、強みを発揮できるスキルを磨いていくという手もあります。モチベーションを維持しやすく、結果として高度なスキルを身に付けやすくなります。

さらにいえば、何よりも若手の場合は、経験を積むこと自体が大切な場合もあります。その場合、調査データ「今後、強化・習得したいスキル」は役立つでしょう。人気のあるスキルは情報が豊富にあり、仲間も見つかりやすいため、結果として習得スピードも速くなります。

まとめ

今回は、情シスの「目」ニュースでは珍しく、組織としての情シスではなく、個人としての情シスに焦点を当てた内容となりました。

IIJが公開した「全国情シス実態調査2025」に掲載されている各種データを、“情シス個人”の視点で読み替えるとキャリアの築き方や市場価値の高め方に直結するヒントが多数含まれています。「これからの時代をどう生き抜いていくべきか」を考えるうえで非常に役立つのです。

たとえば、データから「自走力のある人材」が生存しやすいという点が見えました。また、強化・習得すべきスキルを検討する際にも非常に参考になります。

本記事でお伝えした戦略の内容や、調査資料の読み替え方が、あなたの自己成長のお役に立てれば幸いです。

■著者:松下一輝
千葉大学大学院修了後、大手SIerに入社。通信事業者を顧客とする部署にて、主に業務システムの設計・開発業務に従事する。業務を通じて徐々に説明スキル・プレゼンスキルが評価されるようになり、顧客に対する提案ソリューション説明や自社製品紹介なども任されるように。やがて伝えることへの関心が高まり、フリーのライター/ジャーナリストに転身。現在、IT分野やビジネス分野を中心に、各種メディアで記事を執筆している。
 

(TEXT:松下一輝、編集:藤冨)

 

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