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SAP HANAの導入を検討しているけど、機能やメリットがわからなければ、実際に導入するのに不安があると思います。新システムの導入には、高額なコストがかかるため、不安な状態では導入できません。
そもそもSAP HANAとは、高速なデータ処理を可能としたデータベースシステムです。この記事では、SAP HANAとはどのようなシステムなのか、5つの機能や4つのメリットを解説します。また、SAP HANAと混同されがちな、SAP S/4HANAとの違いも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
SAP HANAとは、ドイツのソフトウェア会社のSAP社が提供する、データベースシステムです。SAP HANAには、以下の2タイプを組み合わせたデータベースが採用されており、高速なデータ処理を実現しています。
また、SAP社はインターネットのクラウド上で構築されるSAP HANAの「SAP HANA Cloud」も提供しています。次に、データベースのインメモリ型とカラム型を、それぞれ詳しく解説します。
インメモリ型とは、コンピュータに内蔵されたメモリ上でデータを直接処理するデータベースです。
従来のデータベースでは、HDDやSSDなどのストレージにデータを保存するオンディスク型が主流でした。しかし、インメモリ型はメモリ上でのデータを直接処理でき、オンディスク型よりもデータの処理が速く行えるため、昨今ではインメモリ型データベースの採用が広がっています。
カラム型とは、列指向でデータを管理するデータベースです。列指向とは、表の縦軸にあるデータの参照を表しています。以下に表のイメージを示します。
料理名 | 価格 | 材料 |
ハンバーグ | 1,000円 | ・ひき肉 ・玉ねぎ |
オムライス | 800円 | ・卵 ・お米 ・ケチャップ |
従来のデータベースは、表の横軸である行を参照するロー型が主流でした。横軸とは上記の表の横の項目を指します。つまり、ロー型の場合にはハンバーグに関するデータの取得は容易なものの、料理名や価格などの縦軸のデータの取得は困難です。
一方、カラム型では縦軸の料理名や価格などのデータの取得が容易になります。データ分析では、上記の表での料理名や価格のように、同じ項目のデータ処理が多いです。そのため、カラム型の方が高速なデータ処理ができます。
データの更新には行指向の方が向いていますが、SAP HANAではデータ更新のために、専用のメモリ領域を設けて問題を解決しています。
次に、SAP HANAの5つの機能をそれぞれ解説します。
前述したインメモリ型データベースによって、SAP HANAでは高速なデータ処理を実現しています。高速なデータ処理機能が搭載されていると、従来のシステムを利用していた場合よりも業務の効率化を図れるでしょう。
前述したカラム型データベースは、効率のよいデータ圧縮機能を実現しています。
SAP HANAでは、カラム型データベースにより一つの項目のデータを収集・分析できることから、収集するデータの種類を削減が可能です。その結果、データ圧縮の効率化を実現しています。
SAP HANAには、統合的なデータ管理を可能とする機能が搭載されています。例えば、データのアクセスや収集機能だけでなく、収集したデータの分析やアプリ開発も可能です。つまり、複数のデータを管理する統合型プラットフォームの機能を果たすのが、SAP HANAです。
SAP HANAは、データシェアハウスとして機能します。
さらに、SAP HANAはデータ保管に特化しているだけでなく、オンライン分析処理が可能で、データ処理とデータ分析を同時に実行できます。そのため、データ保管用途がメインのシステムよりも、業務の効率化を図れるでしょう。
SAP HANAは、構造化データだけでなく、非構造化データにも対応しています。構造化データは表にまとめられるデータですが、非構造化データは無加工のデータです。主に以下のデータが含まれます。
SAP HANAでは、音声データを文字起こしせずに処理できます。このように、SAP HANAには、多種多様な情報を管理できる機能が搭載されています。
SAP HANAの5つの機能を紹介しましたが、SAP HANAには以下の4つのメリットがあります。
次に、SAP HANAの4つのメリットをそれぞれ解説します。
SAP HANAを導入するとデータの処理速度の向上につながります。そのため、データのリアルタイムでのやり取りが可能です。
データをリアルタイムでやり取りできると、時間のロスが少なくなるため、業務の効率化にもつながります。各部署間のデータの連携に時間がかかっている場合には、SAP HANAの導入を検討してもよいでしょう。
SAP HANAの高速データ処理は、迅速な意思決定の実現をサポートします。企業経営では、意思決定の速さが求められます。
従来のシステムであれば、データの収集や分析に時間をかけた上で、その後に意思決定の時間を要していました。しかしSAP HANAでは、意思決定に必要なデータの処理や分析を高速で行えるため、従来であればデータの収集や分析に要していた時間を意思決定に使えることにより、意思決定の速度を速められるでしょう。
SAP HANAでは、社内の部署間のデータも一つにまとめて管理できます。
データの一元管理は、システムの連携や部署間のデータのやり取りをスムーズにし、不要な工数を削減できます。そのため、社内全体のシステムの最適化繫がります。
SAP HANAは、インターネットのクラウド上にシステムを構築するクラウド型と社内にサーバーを設置するオンプレミス型の両方に対応しています。
そのため、自社に合わせた導入形態を選べ、柔軟なシステム構築を実現します。また、オンプレミス型からクラウド型に移行したり、クラウド型とオンプレミス型を組み合わせたシステムを構築したりも可能です。
さまざまなメリットがあるSAP HANAは、2010年に生まれたシステムです。
その後、時代の流れとともにクラウドサービスが普及すると、2019年にクラウド型のデータベースであるSAP HANA Cloudが発表されました。SAP HANAを導入する企業はどんどん増えて行き、2022年には3万1,000 社を超える企業での導入を達成しています。
SAP HANAの歴史を解説しましたが、SAP HANAと混同されるものとして、SAP S/4HANAがあります。
SAP HANAとSAP S/4HANAには、SAP HANAがデータベースで、SAP S/4HANAがシステムの違いがあります。そもそもSAP S/4HANAとは、SAP HANAを用いたERPシステムです。また、それぞれの読み方は、SAP HANAは「エスエーピーハナ」、SAP S/4HANAは「エスエーピーエスフォーハナ」です。
「2027年問題」とは、2027年12月にSAP ERPのサポート終了によって、SAP ERPを導入する企業に大きな影響がある問題を指しています。
SAP ERPのサポート終了は、2015年・2020年・2025年・2027年と終了予定が延長されてきましたが、2027年には終了すると予想されます。そのため、多くの企業で対策が必要です。2027年問題を対策するには、SAP ERPからSAP S/4HANAに移行する必要があります。
現行のシステムをSAP HANAに移行する場合には、オペレーティングシステムの移行も必要です。
SAP HANAはLinuxで実行されているため、オペレーティングシステムもLinuxに移行する必要があります。SAP HANAへの移行には、移行を代行するサービスを提供している企業もあるため、代行サービスの利用を検討してもよいでしょう。
SAP HANA Enterprise Cloudとは、SAP HECとも呼ばれる、SAPのシステム運用に特化したクラウドサービスです。SAP HANA Enterprise CloudではSAP社のサポートを受けられるため、システムの構築や運用する上でトラブルがあっても、SAP社のエンジニアによるサポートで解決できます。
HAWA Viewとは、分析処理の高速化を実現するデータベースビューです。また、SAPのデータベースビューとは、一つ以上のデータベースから必要な要素を抜き出して表示させたものです。HANA Viewには、以下の3種類のビューがあります。
HANA ViewはSAP S/4HANAに搭載されており、SAP S/4HANAの特徴の高速なデータ処理を実現するための一つの要素として、システムを支えています。
SAP HANAとは、インメモリ型とカラム型の採用により、高速なデータ処理を実現したデータベースシステムです。SAP HANAを導入すると高速なデータ処理により、作業の効率化だけでなく、迅速な意思決定ができるメリットがあります。
SAP HANAを導入する場合には、SAP HANAをデータベースとして採用したSAP S/4HANAの導入がおすすめです。SAP S/4HANAの導入は、SAP ERPのサポート終了による企業システムに影響がある「2027年問題」の対策になります。ぜひこの記事を参考に、SAP HANAの導入を検討してみてください。
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