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BPRの意味とは?メリット・デメリットやDXとの違いなどわかりやすく解説

本記事では、BPR(Business Process Reengineering)の概要や背景、メリット・デメリットをわかりやすく解説しています。BPRの意味やDXとの違いも解説しており、BPRの導入で企業が抱える悩みを解決する手助けになります。BPRに興味がある経営者やビジネスパーソンに向けた記事です。

         

「BPRって何?」
「BPRが注目されているのってなんで?」

上記のような疑問をお持ちの方がいるのではないでしょうか。

BPRとは、業務フローや組織構造、情報システムなどを再構築して業務改革することです。BPRが注目されている理由としては、働き方改革の推進やDX化の促進から影響を受けています。

本記事では、上記のようなBPRの概要や注目されている背景のほか、メリット・デメリットや成功させるための手法を解説します。

進め方や業務改善との違いも触れているので、BPRの知見を深めたい方はぜひ参考にしてください。

BPR(業務改革)の意味とは? 組織や業務フローの再構築

BPR(業務改革)の意味とは? 組織や業務フローの再構築

BPRとは、「ビジネスプロセス・リエンジニアリング(Business Process Re-engineering)」の略称で、業務フローや組織構造、情報システムなどを再構築して業務改革を行うこと意味します。

本来、組織や制度、業務プロセスは、企業の目的や目標を達成する手段であるべきです。しかし、社内部門や部署の分業化、専門化が進んだ結果、業務プロセスが分断される問題が生じました。

部門ごとの過度な個別最適化は、全体の業務プロセスに非効率をもたらします。BPRは、この非効率な業務フローを根本的に改革し、全体の業務プロセスを再構築するための取り組みです。

業務改善との違い

「業務改革(BPR)」と「業務改善」は似た言葉ですが、一般的には次のような違いがあります。BPRは業務プロセスを根本的に見直し、顧客志向で企業活動の最適化を目指します。

一方、業務改善は業務プロセス自体は変えず、人や物、情報などの無駄を省くことで効率化を図ります。また、BPRは企業全体の業務プロセスを対象とし、効率化や生産性の大幅な向上を目指すのに対し、業務改善は個々の業務の一部を見直すに留まります。

つまり、業務改善はBPRの一部といえるでしょう。

DXとの違い

業務改革の観点から見ると、BPRと「DX(デジタルトランスフォーメーション)」には共通点がありますが、取り組み方には違いがあります。

DXはデジタル技術(ビッグデータクラウド、AIなど)を活用して「ビジネスモデルを変革し、組織やプロセスを変革する」ことを目指しますが、一方でBPRは「業務フローや組織の改革によって業務プロセスを最適化」を目的としています。

BPRは業務プロセスの最適化を目指すため、ビジネスモデルの変革を目的としていない点が大きく異なります。

BPR(業務改革)が注目される背景とは

BPR(業務改革)が注目される背景とは

BPRが注目されている背景として、下記2点が挙げられます。

  • 働き方改革の推進
  • DX化の促進

順に解説します。

背景①働き方改革の推進

働き方改革は、社員の仕事と生活のバランスを整え、企業の価値を向上させます。しかし、これには残業時間の制限や有給休暇の取得義務など、以前よりも働く時間を減らす必要があります。

生産性を保ちながら働き方改革の利点を享受するためには、効率的に成果を出すための低コストの方法が求められるので、BPR(業務プロセス再設計)を進め、全体的な業務プロセスを変える必要があるでしょう。

背景②DX化の促進

昨今の企業活動において、DXの推進は重要な課題となっています。経済産業省は2018年に「DX推進ガイドライン」を公開しました。そして、2022年9月には「デジタルガバナンス・コード」と「DX推進ガイドライン」が統合され、「デジタルガバナンス・コード2.0」にまとめられています。

上記よりDXとは、デジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルの変革を指します。企業にとって、DXは生産性向上と顧客体験の改善の両面で重要で、生産年齢人口の減少にともない、企業は生産性を向上させる必要があります。また、顧客体験の向上も重要です。

具体的に、DXの推進には、まずBPRによる業務効率化を進めることが重要です。そして、サービス品質の向上が可能となる環境を創り出す必要があります。国や企業は、生産性向上と持続的な成長のために、働き方改革やDX化を推進しています。どちらの施策でも、BPRによる業務プロセスの改善が求められることから、BPRは注目されているといえるでしょう。

BPR(業務改革)を推進する3つのメリットとは

BPR(業務改革)を推進する3つのメリットとは

前章ではBPRが注目されている背景を解説しましたが、本章ではBPRのメリットを3つ紹介します。

  • 業務フローの把握による企業全体の最適化
  • 業務の効率化
  • 顧客満足度、従業員満足度の向上

順に紹介します。

メリット①業務フローの把握による企業全体の最適化

BPRの推進は、会社全体の業務プロセスの見える化を意味します。この見える化の過程で、製品ごとに各部門で行われる重複した業務のような、効率化を妨げる要因や課題の発見が可能です。

業務フローを全体的に見直し、再構築することで、BPRの目的である企業や組織全体での業務の最適化が実現されます。

メリット②業務の効率化

全社的な業務の最適化が進むと、業務効率も向上します。無駄な業務を減らすことで、時間とコストを節約するだけでなく、ビジネス界で求められている迅速な意思決定も実現できます。

メリット③顧客満足度・従業員満足度の向上

業務の最適化により、スピーディな業務遂行が実現されます。これにより、顧客への対応やサービスの質が向上し、顧客満足度も高まるでしょう。

さらに、生産性の向上により、従業員の満足度向上も期待されます。BPRは、企業全体の目標達成を目指しています。そのため、業務の遂行や効率化が求められ、従業員の意識改革にも直結するでしょう。

BPR(業務改革)の2つのデメリットとは

BPR(業務改革)の2つのデメリットとは

BPRの推進はメリットだけではなく、デメリットもあるので、本章では2つ紹介します。

  • さまざまなコストがかかる
  • 社員との摩擦が起きる可能性がある

それぞれ紹介します。

デメリット①さまざまなコストがかかる

BPRを実施するには、企業全体の業務改革を徹底的に行う必要があります。しかし、このプロセスで途中で断念してしまうと、全社的な混乱が生じるリスクもあります。また、BPRを推進するには、新しいITシステムの導入や外部委託など、費用がかかることも少なくありません。

長期的にはコストを回収できる可能性がありますが、短期的にはコストが増えることもあります。BPRを実施する際には、これらのリスクやコスト増を考慮しておく必要があります。

デメリット②社員との摩擦が起きる可能性がある

BPRは、業務改革を意味し、会社全体の業務フローを見直すために行われます。しかし、この改革には従業員にとっても負担がかかることがあります。その結果、現場と経営側の間に摩擦が生じ、抵抗されてしまう場合があります。

この問題を回避するためには、事前に従業員に対してBPRの理由や意義を十分に説明し、浸透させることが重要です。経営側だけですべてを決めるのではなく、計画立案の段階から現場のメンバーを積極的に巻き込むことも有効な解決策です。

BPR(業務改革)を成功させるためのおもな手法

BPR(業務改革)を成功させるためのおもな手法

BPRを成功させるための手法を6つ紹介します。

  • 業務の仕分け
  • ERP
  • シックスシグマ
  • シェアードサービス
  • BPO
  • SCM

順に解説します。

手法①業務の仕分け

BPRを実施する際には、最初に「業務仕分け」といわれる作業を行います。ここでいう「業務」とは、企業内で繰り返し行われている作業のことを指します。

具体的には、業務の流れや部門間の連携などを図式化し、業務フローを可視化します。そして、業務の重要性に応じて優先順位をつけていきましょう。優先順位の低い業務に関しては、アウトソーシングを検討する場合もあります。

手法②ERP(基幹系情報システム)

「Enterprise Resources Planning」の略称であるERPは、経営の基本要素である人・モノ・金・情報などを適切に配分し、効果的に活用するための計画や考え方、そしてそれを実現するシステムを指します。

このシステムは統合基幹業務システムとも呼ばれ、SAPやオラクルなどがよく知られています。ERPシステムの導入で、部署間でばらばらだったシステムやデータの一元管理が可能になり、経営資源の効率化や意思決定のスピードアップが実現できます。

手法③シックスシグマ

シックスシグマは、品質管理のフレームワークであり、統計学に基づいて不良品率の低下や顧客満足度の向上を実現します。1980年代に米国モトローラが開発し、その後ゼネラル・エレクトリックのジャック・ウェルチCEOが採用し、成功したことで世界的に知られるようになりました。

名前の由来は、統計学でばらつきを意味する標準偏差「σ(シグマ)」からきています。シックスシグマは、組織全体で高品質を維持するため、業務の各プロセスで発生するばらつきを分析する活動です。製造部門、営業部門、サービス部門に特に効果がありますが、間接業務にも有効です。

手法④シェアードサービス

シェアードサービスとは、複数のグループ企業が経理・財務や人事・総務、情報システム、物流などの間接部門をまとめて効率化し、コスト削減を図る手法です。

これにより、業務の肥大化を解消し、人材配置やデータ活用をより効率的に行うことができます。また、業務プロセスの効率化だけでなく、コーポレートガバナンスの強化にも貢献できると期待されています。

手法⑤BPO(自社の業務を外部に委託する形態)

BPOとは、「Business Process Outsourcing」の略で、自社の一部業務を外部事業者に委託することを指します。

かつては、主に間接部門であるシェアードサービスが対象でしたが、最近では人材育成やマーケティングなどの業務も外部委託する企業が増えています。

手法⑥SCM(全体最適を目指す経営管理手法)

SCMとは、「Supply Chain Management」の略称で、商品供給の流れで、関連部門や企業間で情報を共有・管理する手法を指します。

調達から製造、物流、販売など、生産から消費に至る一連のプロセスを効率化し、業務効率化や収益最大化を目指すために、組織や企業の壁を越えた最適化を行います。

BPR(業務改革)を進めるプロセスとは?5STEPで紹介

BPR(業務改革)を進めるプロセスとは?5STEPで紹介

BPRの進め方を5つのSTEPに分けて紹介します。

  1. 検討
  2. 分析
  3. 設計
  4. 実施
  5. 評価・モニタリング

順に紹介するので、進める際の参考にしてください。

【STEP1】検討

BPRを実施する目的を明確にし、その目的に基づいて目標を設定します。さらに、全社員に対して明確に伝えましょう。従業員一人ひとりに理解と協力を得るためには、単に告知するだけでなく、質疑応答を含めた説明会を開催するなど、丁寧に説明を行う必要があります。

BPRの対象範囲は、全社の業務全体をカバーします。具体的かつ明確な把握を目指すために、業務範囲を設定しましょう。また、部分的に始める場合は、優先度の高い業務から取り組むことが重要です。今回のフェーズで対象となる業務を明確にしておきましょう。

【STEP2】分析

​​まず、STEP1で設定した目的や目標を考慮し、対象業務の関係者にインタビューを行い、ABC分析、プロセスマッピング、ベンチマーキング、BSC(バランススコアカード)などの手法を使って現状を分析します。その結果から、現在の業務に潜む課題を明らかにしましょう。

【STEP3】設計

STEP2で得た分析結果を基に、STEP1で設定した目標に合わせて、戦略と方針を立てます。戦略と方針が確定したら、具体的な変革策、つまり、業務の代替手段や、変更後の組織や職務などを検討していきましょう。

具体的な実施方法が決まってきたら、変革後のビジネスプロセスを設計します。この段階では、BPMツールを活用します。BPMツールは、ビジネスプロセス管理(BPM)を実行するためのソフトウェアです。BPMツールを使うことで、BPMを可視化し、効率化できます。

【STEP4】実施

STEP1~3で整えた準備を基に、変革を進めます。 BPRプロジェクトのリーダーは、全体の進捗状況を把握し、管理してください。 STEP1で明確にした目的や目標を忘れずに、必要に応じて振り返りながら進めましょう。

【STEP5】評価・モニタリング

変革を実行した後は、新しい業務プロセスの評価のために、モニタリングを行います。現場の担当者に対して、各業務に要する時間やミスの発生数などの具体的な数値を伺いましょう。それによって、業務の進捗状況や品質を把握できます。

業務モニタリングで得た数値と、目標値を比較して、効果測定・達成度評価を行います。 また、改善につなげるため、数値以外の定性的な評価も行いましょう。この時も、現場の担当者へのヒアリング内容が元となります。

まとめ

bpr まとめ

BPRは、企業全体の業務プロセスを見直し、再構築する取り組みです。業務改善と比べると、規模も手間も期間も大きくなりますが、成功すれば大きなメリットが得られます。

実施には、ERPやBPMツール、BPOなどを上手に活用し、継続的な改善の仕組みを整えましょう。実施には人的リソースと金銭的コストがかかりますが、その投資は成功につながるはずです。

   

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