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DXの目的とは?DXを推進するメリット4選とデメリット4選を徹底解説

         

「DXの目的ってなに?」
「そもそもDXってなに?」

上記のような疑問をお持ちの方がいるのではないでしょうか。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術を用いて業務プロセスやビジネスモデルを革新する取り組みを指します。

また、DXが求められる背景には、グローバルな競争の激化や消費者の行動パターンの変化などがあります。しかし、組織の既存の考え方や技術の遅れなどが、これらの取り組みを阻む主な課題となっています。

この記事では、DXについて包括的な理解を深め、それを実現するための戦略的なアプローチと具体的な例、そして直面する可能性のある課題について詳しく解説していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは、「Digital Transformation」の略であり、日本語では「デジタルによる変革」と訳されます。この概念は、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したものであり、デジタル技術の普及が人々の生活に良い影響を与えるという考えに基づいています。日本では、経済産業省が2018年に作成した「DX推進ガイドライン」で、DXについて詳細に説明されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、 顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」

DX化とIT化の違い

IT化とは、既存の業務プロセスを変えずに、デジタル技術やIT・データ活用を導入することで業務の効率化や強化を図ることを指します。

例えば、電話や手紙での連絡手段が、メールやチャットツールなどに置き換わることはよくあります。連絡の方法自体は問われず、効率化を図るために新しいツールを導入することで、業務の効率が上がるのです。

一方、DXは、製品・サービスやビジネスモデルの変革を通じて、人々の生活をより良い方向に変えることを目指すものです。つまり、IT化はDXを実現する手段であり、DXはIT化を目指す最終目標と言えます。

DX、デジタイゼーション、デジタライゼーションの違い

デジタイゼーション(Digitization)やデジタライゼーション(Digitalization)は、DXという用語と似ていますが、実は異なる意味を持っています。

この二つは混同されやすいのですが、下の図のように、DXは企業全体でデジタル化を進め、価値創造に注力することを指します。

一方、デジタライゼーションは特定のプロセスに限定されたデジタル化を指し、デジタイゼーションは紙やパンチカードなどの物質的な情報をデジタル形式に変換することを意味します。

DX化推進の目的とは?

DX化推進の目的を4つ紹介します。

● ビジネスにおけるプロセスの効率化
● ビジネスチャンスの開発
● 顧客満足度の向上
● ポジション改善による競争力の強化

順に紹介します。

目的①ビジネスにおけるプロセスの効率化

DX の初期段階では、業務の自動化や効率化が重要視されます。具体的には、プロセス自動化やデータ分析を通じた意思決定の迅速化などが含まれます。

これにより、時間と労力を大幅に節約し、ヒューマンエラーを減らすことができます。業務の効率化を通じて、企業はリソースを最適に活用し、より重要な戦略的な取り組みに集中することができます。

目的②ビジネスチャンスの開発

デジタル技術を活用することで、企業は新しいビジネスモデルや収益源を見つけられます。データ分析、AI、ブロックチェーンなどのテクノロジーは、新たな商品やサービスを生み出したり、顧客との新しい関わり方を作り出す機会を提供します。

企業はこれらのテクノロジーを駆使することで、より創造的なアイデアを形にし、競争力を高めることができるのです。

目的③顧客満足度の向上

デジタル技術は、企業に顧客との接点を増やし、より個別に合わせた体験を提供する手段を提供します。

DXは、顧客のニーズを理解し、それに応える製品やサービスを提供するための洞察を得る機会を増やします。こうすることで、顧客満足度を向上させ、長期的なお客様の忠誠心を確保することができます。

目的④ポジション改善による競争力の強化

DXは企業に競争優位をもたらすかもしれません。

新しい技術を素早く取り入れ、変化する市場ニーズに対応することで、企業は競争相手よりも先を行くイノベーションを推進し、市場での立ち位置を強化できるでしょう。

DXの必要性とは

DXの目的だけではなく、必要性も3つ紹介します。

● ITシステムの課題「2025年の崖」の克服
● DX推進の遅れ
● 変化する市場に対する柔軟な対応

①ITシステムの課題「2025年の崖」の克服

経済産業省によると、2025年には既存のITシステムには課題があります。その問題は老朽化によるものであり、改訂が行われない場合、年間で12兆円の経済損失が生じると推定されています。2025年までに稼働しているシステムのうち、21年以上稼働している企業は60%に上ると見積もられています。この課題には早急な対応が必要とされています。

また、経済産業省は、DXの実現に向けての課題とその対応策を明らかにするために研究会を設置しました。その研究会で行われた議論をまとめた報告書が「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」です。この報告書は2018年に発表され、現在までの間に4回にわたり発表されています。以下では、各DXレポートの要点をまとめます。

2018年:「DXレポート」(「2025年の崖」問題)

経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」によると、DXを進めるための課題を克服できなければ、日本は将来的に大きな損失を被る可能性があると予測しています。

これを「2025年の崖」と表現し、警鐘を鳴らしました。この「2025年の崖」とは、2025年だけでなく、その後もDXの実現ができなかった場合に生じる経済的な損失を指しています。

経済産業省によれば、企業がグローバルなデジタル競争に敗北し、システムの維持管理費が高騰し、さらにはサイバーセキュリティや事故・災害による損失が発生することで、毎年12兆円もの巨額の損失が生じる可能性があるとされています。

2020年:「DXレポート2」(「システム刷新」から「ビジネス変革」へ)

「DXレポート2」は、2018年に公表された第1弾レポートの内容と、それ以降の動向を踏まえて、特に新型コロナウイルスの感染拡大による影響に焦点を当て、企業が取り組むべき具体的なアクションプランを示しています。

経済産業省では、2018年の第1弾発表以降、企業のDX推進を支援するために、ガイドラインの整備や自己診断のための指標の策定など、仕組み作りを進めてきました。

しかし、2019年および2020年のデータ分析によると、DXの遅れは解消されていないことがわかりました。レポートでは、「コロナ禍が事業環境の変化の典型であると考えると、DXの本質は、単にレガシーなシステムを刷新し高度化することにとどまらず、事業環境の変化に迅速に適応する能力を身につけ、そしてその中で企業文化を変革することにある」と強調されています。

つまり、前回のレポートよりも具体的な企業の方向性を示し、誤解を払拭するために、レガシーシステムの刷新だけではなく、迅速な適応能力の獲得と企業文化の変革が重要であることが示されています。

2021年:「DXレポート2.1」(ユーザー企業とベンダー企業の相互依存問題)

DXレポート2.1では、これまでの2つのレポートの結果を考慮した上で、課題を「ユーザー企業・ベンダー企業のあり方」に絞りました。

前回の「DXレポート2」では、政策の方向性として、「レガシー企業文化からの脱却」や「ユーザー企業とベンダー企業の共創の推進」の必要性を示しました。

また、企業が守りのIT投資から攻めのIT投資へ軸足を移し、アジャイル型の開発などによって事業環境の変化に即応することで、ユーザー企業とベンダー企業の垣根がなくなっていく方向性を示しました。DXレポート2.1では、このような結果が得られました。

2022年:「DXレポート2.2」(デジタル産業宣言)

これまでのDXレポートの内容を踏まえ、さらなるDX推進のために、デジタル産業の変革に向けた具体的な方向性やアクションを示しています。具体的には、企業に対して以下の3つのアクションを提案しました。

1. デジタルを、省力化や効率化だけでなく、収益向上にも活用すべきであること
2. DX推進において、経営者はビジョンや戦略だけでなく、「行動指針」を示すこと
3. 個社単独ではDXが困難であるため、経営者自らが「価値観」を外部に発信し、同じ価値観を持つ仲間を集めて、互いに変革を推進する新たな関係を構築すること

DXレポート2.1でも述べた通り、日本では個社単独でのDXが困難な状況にあります。そのため、産業全体での変革が必要であり、目指すべき産業の姿として「デジタル産業宣言」を策定しました。

②DX推進の遅れ

引用:経済産業省「「DX推進指標」とそのガイダンス」令和元年7月

DX化の必要性の一つとして、DX推進の遅れが挙げられます。上記のデータを見ると、DX推進の成熟度はレベル0から5の6段階で分けられています。

全企業の目標はレベル3の「全社戦略に基づく部門横断的推進」ですが、現在の値が1.45と半分以下であることから、全体的にDX推進が遅れていることがわかります。

まずは自社のDX推進の成熟度がどのレベルにあるのか把握し、その上で目標と達成期限を明確にする必要があります。また、エンジニアや現場メンバー以外の管理職や経営層の方々の意識改革も必要です。

DX推進を進めるためには、上司が協力しなければならないこともあります。そのため、DX推進をスムーズに進めるためには、管理職や経営層の方々へのアプローチも必要です。

③変化する市場に対する柔軟な対応

現在のITシステムのリリースから時間が経ち、市場は大きく変化しています。しかし、既存のシステムでは市場の変化に対応することが難しくなっています。

そこで、DX(デジタルトランスフォーメーション)を行うことで、柔軟な対応が可能になります。最新の開発技術の進歩により、システムの負荷を大幅に軽減することができます。

そのため、DXを推進した後でも、市場の変化に対して以前よりも簡単に対応することができます。

DX化の4つのメリットとは?

DX化のメリットを4つ紹介します。

● 人材不足の解消
● 新しいサービスの提供
● 生産性の向上
● BCP(事業継続計画)の充実

順に紹介します。

メリット①人材不足の解消

出典:総務省(2022)「情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~」

この図は、各国がDXを進める上での課題や障壁に関する調査結果を示しています。日本では、「人材不足」が約70%もの割合で課題とされており、その次に「デジタル技術の知識・リテラシー不足」、「アナログな文化・価値観が定着している」という課題が挙げられています。

DXを推進するためには、一般的に「採用」と「育成」に力を入れることが重要です。特に日本企業は、育成に注力している割合が大きいです。社内でDX推進の人材を育成することで、元々のドメイン知識、つまり自社の事業に詳しい人材を多く揃えることができます。また、雇用機会の維持にもつながるため、人材の効率化も図ることができます。

メリット②新しいサービスを提供できる

IT技術を活用した製品やビジネスが増えており、特にIoTというモノとインターネットを組み合わせた技術は将来性があります。

たとえば、SNSを通じて収集した顧客情報のデータを解析・活用することで、顧客のニーズを把握することができます。DXの推進により、マーケティングの精度も向上し、顧客が求めている新しい商品やサービスを具体化しやすくなります。

メリット③生産性の向上

企業にとって、DX推進がもたらすメリットは、生産性の向上や業務効率化です。デジタル技術を導入することで、日々のルーティン業務を自動化したり正確化したりすることができ、作業時間を短縮したり、人件費を削減したりできます。

さらに、ヒューマンエラーをなくすことができるため、より信頼性のある企業を目指すことができます。このように、デジタル化によって「作業」を効率化することで、従業員はより高度な業務に時間を割くことができるようになり、クリエイティブに取り組む時間を確保できます。

メリット④BCP(事業継続計画)の充実

BCP(事業継続計画)とは、災害やシステム障害などの危機的な状況に備えて、被害を最小限に抑えるための計画です。また、業務をスムーズに継続するための対策も含まれます。

最近では、DX化が進んで業務効率化が進められているため、こうした予期せぬ事態にも柔軟に対応できるようになっています。さらに、システムや業務プロセスの簡素化によって、早期回復も期待できるため、BCPの充実は企業のリスクヘッジにとっても重要なメリットと言えます。

企業は、危機的な状況に陥った後、できるだけ短期間で復旧することが重要と考えています。なぜなら、復旧までに時間がかかると、企業の運営に支障をきたす可能性もあるからです。そのため、DX化を進める際には、既存のBCPの見直しや改訂も行うことを心がけましょう。

DX化の4つのデメリットとは?

前章ではDX化のメリットを紹介しましたが、本章ではデメリットを4つ紹介します。

● 導入の際にコストがかかる
● 会社全体の協力が必要となる
● システム移行が困難な場合がある
● 効果が出るまで時間がかかる

それぞれ見ていきましょう。

デメリット①導入の際にコストがかかる

DXのデメリットの一つは、コスト負担が大きいことです。システムやツールの導入には、数百万円もの費用がかかることも珍しくありません。

初期費用だけでなく、ランニングコストもかかるため、DXを継続的に進めることが難しくなる場合もあります。ですから、コストと利益を考慮して、DXを推進するための予算を立てることは欠かせません。

一般的に、スクラッチ開発でシステムを導入することが理想的と考えられがちですが、その場合はコストがかかりすぎるリスクがあります。

導入コストが低く、従量制でランニングコストも制御しやすいサービスを利用することで、費用対効果を高めることができます。

デメリット②会社全体の協力が必要となる

DXを推進するには、会社全体の協力が必要です。経営者だけが先頭に立っても成功しないし、逆に現場が積極的にDXを進めたくても経営陣の意識がなければ進めることはできません。

DXは、経営者がリーダーシップを発揮し、ITシステム担当者だけでなく、各部門の現場の声も反映させながら全社的に進める必要があります。

そのためには、計画を詳細に立て、まずは従業員一人ひとりにDXの重要性や目的を正しく理解してもらうことが大切です。

そして、一朝一夕では終わらない長期的な取り組みとして、協力し合いながら一体となってDXを推進できる体制を整えることが重要です。

デメリット③システム移行が困難な場合がある

DXを実現するためには、既存のシステムの課題を認識し、新しいシステムを構築することが重要です。しかし、既存のシステムから新しいシステムへの移行には、データの変換やインポート、従業員の教育研修など、手間がかかります。

また、従業員が新しいシステムに慣れるまでには、業務が滞るリスクもあります。そのため、円滑な移行を実現するためには、適切なフローを整えることが必要です。

特に、アナログなシステムからデジタル化を進める場合は、システム移行の負担が大きくなります。ですから、無理のないスケジュールを立て、スモールスタートで従業員の意識改革を進めながら、DXを推進していくことが重要です。

デメリット④効果が出るまで時間がかかる

DXの推進は、すぐに成果が見えるわけではありません。長期的な取り組みが必要ですが、その中には大きなイノベーションの可能性もあります。ただし、DXを始めた直後から利益を生み出すことは難しいことが多いです。

従業員の教育やデータの収集など、さまざまな課題を乗り越えながら、自社に合ったIT活用を進めていくことで成果が得られます。

すぐに成果が出なくても、データを集積し、試行錯誤を繰り返すことで最終的にはメリットを生み出すことができます。しかし、DXにコストをかけてもすぐに利益につながるとは限りません。

DXを推進するための方法とは?4STEPを紹介

DXを推進するための方法を4つのSTEPで紹介します。

1. 自社の現状・課題の把握
2. 人材や組織体制の構築
3. デジタル化による業務効率の向上
4. データの蓄積・分析・活用

それぞれ紹介しますのでぜひ参考にしてください。

【STEP1】自社の現状・課題の把握

DXを推進する際には、まず自社のビジネスや社内の状況を正確に理解し、明確に可視化することが重要です。これには、既存のシステムや情報資産、そして人材の能力や適性など、すべての要素を把握する必要があります。

これらの情報をもとに、企業は自社の強みと弱みを明確にし、DXの方向性を定めることができます。また、これらの情報はDXの進行に伴い更新されるべきものであり、常に最新の状況を把握し続けることが求められます。

こうすることで、企業は効果的にDXを推進し、ビジネスの競争力を高めることができます。そして、先入観や固定観念にとらわれずに、DXで解決すべき課題かどうかを見極めることが、このステップで特に重要です。

【STEP2】人材や組織体制の構築

DXを推進するためには、適切な人材を配置し、それを支える組織を構築することが重要です。

既存の組織で対応できるかどうかや、新たに専門の部署やチームを立ち上げるかどうかも検討する必要があります。

また、「DX人材」とは、主に以下の職種を指します。

● プロジェクトマネージャー
● ビジネスデザイナー
● テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)
● データサイエンティスト
● 先端技術エンジニア
● UI/UXデザイナー
● エンジニア/プログラマ

これらのDX人材を確保する方法としては、外部からの人材採用や、既存の社員のスキルアップやDX人材育成を行う方法があります。

【STEP3】デジタル化による業務効率の向上

デジタイゼーションやデジタライゼーションにより、業務効率が向上し、会社全体の生産性も向上します。また、DXによってもたらされるメリットやDXへの期待値を社内に広められます。

このデジタル化は、部署ごとの短期的な視点ではなく、全社的な長期的な視点で進める必要があります。それによって、全社的な業務最適化が可能となり、組織全体の生産性向上につながるでしょう。

【STEP4】データの蓄積・分析・活用

デジタイゼーションやデジタライゼーションによって、企業は業務をデジタル化し、さまざまなデータを取得することができます。これらのデータには、顧客の行動パターンや商品の売上動向、業務の効率性など、様々な情報が含まれています。

これらの情報を適切に分析し活用することで、企業は自社のビジネスをより深く理解し、新たなビジネスチャンスを見つけられます。

データに基づく意思決定は、組織の変革を促進し、企業の競争力を高められます。データは新たな価値を創造する源泉であり、デジタル化によって得られるデータを活用することは、ビジネスや組織の変革を実現するために重要なステップとなります。

DX化によって解決される社会課題とは?

最後にDX化によって解決される社会課題を3つ紹介します。

● 物流2024年問題
● 2040年問題(人口減少・高齢化による労働力不足)
● 2050年カーボンニュートラル(気候変動・エネルギー)

それぞれ紹介します。

①物流2024年問題

物流2024年問題とは、「働き方改革関連法によって、自動車運転が伴う業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで生じる課題群」を指します。

先日、岸田首相が「置き配を選ぶ消費者にポイント付与」や「鉄道・船舶輸送の強化」などを盛り込んだ、「物流革新緊急パッケージ」を発表しました。

この背景には、「物流2024年問題」があります。2024年4月に、この問題が顕在化します。なぜなら、2019年に施行された同法の特例で設けられた猶予期間が3月末に終了するからです。物流に関わる企業は、配送ルートの最適化やトラックドライバーの業務時間の可視化など、デジタルを活用してDXを推進することが、課題解決の手がかりになると考えられます。

「即日配達」が当たり前ではなくなるかもしれないこの問題は、消費者にとっても関係のないことではありません。

②2040年問題(人口減少・高齢化による労働力不足)

2040年問題とは、「2040年に日本の高齢者人口(65歳以上)の割合が最も高くなり、生産年齢人口の割合が急激に減少する問題」を指します。日本では、近い将来、高齢者人口が増加し、労働力人口が減少することが予測されています。そのため、生産性向上を図るためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が重要な課題となっています。

また、地方自治体に目を向けると、2020年12月に総務省が策定した「自治体DX推進計画」では、「限られた人的資源を本来の業務に集中させるために、地方自治体の業務の在り方を刷新する必要がある」と述べられています。具体的には、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの技術を活用し、業務の効率化を図ることで、社会の課題やニーズの変化に対応していくことが求められています。

③2050年カーボンニュートラル(気候変動・エネルギー)

世界中で地球温暖化による気候変動が大きな問題となっています。平均気温の上昇や海面水位の上昇などがその一例です。この気候変動によって、世界各地でさまざまな影響が現れています。

特に、気候変動の原因となる温室効果ガスについて、政府は2020年10月に2050年までに排出をゼロにするカーボンニュートラルを目指すと宣言しました。そして、経済産業省が2020年12月に発表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、グリーン成長戦略を支える要素として、強力なデジタルインフラとグリーンの両方が重要であると述べられています。

具体的には、テレワークによる公共交通機関の利用抑制による電力コストの削減や、AIを活用した食品業界の廃棄ロスやコスト削減の実現など、さまざまな分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)が不可欠と考えられています。これらの取り組みによって、カーボンニュートラルを実現することが目指されています。

DXの目的とは?DXを推進するメリット4選とデメリット4選を徹底解説のまとめ

DXという言葉が広まり、それに関連する言葉も増えてきました。しかし、情報が溢れる中で、自社のDXに真剣に向き合うためには、まずはDXの本質を理解し、しっかりと分類することが重要です。

新型コロナウイルスにより新たな消費者行動や働き方、価値観が定着している今、デジタル化に舵を切り、業界での地位を向上させることが本当の勝負時と言えます。

DXによって得られる成長は、過去の右肩上がりの経済成長とは異なり、ビジネス上の確実な成功パターンや正解が存在しません。激しい環境変化に対応するためには、目を凝らし、DXに舵を切る必要があります。

   

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