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「ERPを導入するメリット・デメリットは?」「ERPを導入する具体的な流れが知りたい」など、このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。企業がERPを導入することで、業務の効率化や経営の意思決定の迅速化など多くのメリットを得られます。
本記事では企業がERPを導入するメリット・デメリットを紹介します。また、ERPを導入する具体的な流れや導入事例も解説するため、ぜひ参考にしてください。
ERPとは、経営に必要な企業の資源を統合的に管理するマネジメント手法のことです。企業経営に重要となるヒト・モノ・カネを一元的に管理して業務の効率化を図ります。まずはERPに関する基本情報を3つ紹介します。
以下でそれぞれ確認していきます。
ERPと基幹システムは混同されて使用されがちですが示す意味が異なります。基幹システムとは、生産管理システムや販売管理システムなど企業活動の根本となる業務をサポートする単一のシステムのことです。
これに対してERPとは企業全体の観点で情報を一元管理することを示します。社内データの統合・管理が可能となるため経営情報をリアルタイムで共有でき、課題の把握や業務改善に活かせるのです。
ERPを導入する主な目的は、社内データの管理を一元管理することで業務の効率化や経営判断の迅速化を図ることです。従来では、生産管理や在庫管理、財務管理においてシステムが独立していました。
しかし、システムごとにデータが散在していると1つにまとめて分析を行うことが手間となり、経営状況の把握や経営判断までに多くの時間が必要となっていました。ERPを導入することで、社内で取り扱う情報を一元管理でき迅速に社内状況の把握ができます。そのため、近年では大手のみならず中小企業でもERPの導入が進められています。
日本企業が本格的にERPを導入し始めたのは2000年代に入ってからです。グローバル化が進められる中で海外市場に向けて事業を展開する日本企業が増加しました。
しかし、海外に拠点を置いて事業を行うと海外拠点と日本本社との間で情報共有が難しく業務連携に支障が生じてしまうことがありました。このような課題を解決するために普及したのがERPです。ERPを導入することで海外拠点と日本本社に関わらず会社の機関業務の情報を一元管理できるため情報共有の課題を解決し迅速な経営判断が可能となりました。
企業がERPを導入するメリットを4つ紹介します。
ERPの導入はメリットが豊富です。以下でそれぞれのメリットの紹介を確認していきます。
ERPを導入することで社内データの一元管理が可能となります。現在販売されている多くのERPは、会社の売上や製造にかかるコスト、仕入れ費用、在庫状況などをリアルタイムで確認できるようになっています。
そのため、データを確認することで一目で社内状況を把握でき迅速で的確な経営判断が可能となるのです。市場の変化に合わせて早急に経営戦略を立てられる点がメリットです。
ERPの導入により、さまざまな業務の効率化が図れます。これまで、雑務に多くの時間を費やしていた方がERPの導入によりコア業務に集中できるようになるため生産性の向上が期待できます。
また、商品の製造においても在庫をデータで可視化できるため過剰な仕入れを防ぐことができ無駄な支出を抑えられます。このようにERPの導入は業務の効率化や生産性の向上、無駄な支出の削減などのメリットが得られます。
ERPの導入により、社内データを一元管理できるため内部統制が徹底できます。商品の受注から原材料の調達、製造、販売までのデータの処理や利益とコストの管理、社員の労務管理などで社内状況を可視化できるため長時間労働や社員による不正を防止できるようになるでしょう。
また、日々の売上や会計がリアルタイムでわかることから経営者や社員の意識改革にもつながります。ERPを導入して内部統制を徹底することで、企業全体の意識の向上にもつながります。
企業が取り扱うデータのなかには会社の売上や顧客情報など機密情報を取り扱うことがあります。大きな企業で部署ごとにさまざまなデータを取り扱っていると情報漏洩のリスクも高まります。
ERPを導入することで、社内で取り扱うデータを一元管理が可能です。社内全体のデータを一括で取りまとめられるため、高度な情報管理対策が行えるためメリットです。
ERPの導入はメリットが豊富ですが、デメリットもあるため注意が必要です。ERPのデメリットを3つ紹介します。
デメリットを理解したうえで導入を検討してください。
ERPは導入や運用にコストが必要です。クラウド型・オンプレミス型によっても導入コストは異なりますがライセンス費用や開発費用、運用・保守費用を合わせると1000万円以上の費用が発生する場合があります。
また、導入後はシステムを管理するための人件費も必要です。そのため、導入したERPが自社の業務改善に適さないと費用対効果を得られない可能性があるため注意しましょう。トータルでかかる費用を把握して費用対効果を検討しながら導入してください。
社内で取り扱うデータを部署ごとのルールで登録している場合、ERPを導入しても正確に集計できません。そのため、ERPを導入して社内データを一元管理するためには各部署で取り扱うデータを整理してERPに登録する必要があります。
また、ERP導入後にシステムにデータを入力する際も統一されたルールで入力していかなければなりません。部署ごとでデータの入力方法が統一されるようにルールを作成し社員に共有しましょう。
ERPの導入後すぐに社員全員がシステムを使いこなせる訳ではありません。そのため、ERP導入後は社員教育のための研修を行う必要があります。
また、ERPは社内の機密情報を取り扱うためセキュリティ対策も必要です。社員に安全性の低いサイトへのアクセスの禁止やデータの入力方法などルールの共有も研修で行うようにしましょう。
ERPの導入は企業にとって大きなプロジェクトです。計画的に進めることで効率よく、スムーズに導入できるでしょう。ここでは、ERPを導入する際の流れを5つのステップに分けて解説します。
各ステップを丁寧に実施することで、ERP導入の成功率を高めることができます。それぞれ確認していきます。
まずは社内でERPを導入する目的を明確にしましょう。ERP導入の目的は業務効率化、コスト削減、リアルタイムでのデータ分析強化など企業ごとで異なります。
社内の課題を洗い出し、改善のためにどのようなシステムが必要か検討してください。ERPを導入する目的を明確にすることで、会社に適したERPを導入できます。
会社の目的にあったERPの導入が決定したら、次は導入スケジュールを立てます。実際の導入スケジュールは、既存のシステム環境や業務カレンダー、プロジェクトへの依存度などさまざまな要素に基づきます。
スケジュール作成は、プロジェクトマネージャーが主導することが多いですが、それぞれの部署からの意見を集めることも大切です。予算やリソースなどさまざまな観点を踏まえてスケジュールを立てましょう。
ERPシステムの提供者は数多く存在しており、それぞれに得意とする領域、サービスの質、コストパフォーマンスが異なります。ERPを導入する際は複数のサービス提供会社を比較検討することで、企業のニーズに適したERPを選ぶことができます。
比較するポイントとしては、サービスのカスタマイズ性、サポート体制、ユーザーフィードバック、実績、コストなどが挙げられます。また、実際の導入企業からの評判やレビューを調査することも有効です。自社に適したサービス提供会社を選ぶことで、導入後のトラブルを避けることができます。
多くのERP提供会社は無料トライアルを提供しています。実際にシステムを試用することで、機能性、使い勝手、業務への適合性を直接評価できます。
無料トライアルを利用する際は、事前に評価基準を設定しておくことが重要です。業務プロセスへの統合性や使用感、操作のしやすさなど細かく確認しましょう。
トライアルで自社に合うERPが確定したら、いよいよERPシステムの運用を開始します。
初期段階では、システムを理解し、効果的に使用するための研修やワークショップを社内で取り入れましょう。また、導入初期にはさまざまな問題が発生することも想定されるため、迅速に対応できるサポート体制の確保も重要です。
ERPを取り入れた企業の導入事例を2つ紹介します。
ERPの導入がどのように役立つのか参考にしましょう。
大手消費者金融A社では、これまで集計作業や書類確認作業に多くの時間がかかっており社員の業務負担となっていました。マネーフォワード クラウドERPを導入した結果、集計業務や書類確認作業の自動化により業務負担の削減につながりました。
また、会計業務も税理士とリアルタイムでデータを共有できるため会計業務の効率化にもつながっています。大手消費者金融A社は、ERPの導入により社員が専門的なコア業務に集中して取り組める環境作りに成功しています。
情報通信業B社は、社内で取り扱うデータをExcelを用いて管理していました。しかし、会計や労務時間など業務別にデータが管理されていたため集計作業に手間がかかる点が課題でした。
事業規模が大きくなるにつれて集計作業が困難となったためクラウドERPを導入した結果、データの一元管理が可能となり、これまで負担となっていた集計業務の課題が改善しています。また、集計業務だけでなく受注管理や売上管理も一元化でき、社内状況の「見える化」につながり経営予想の精度改善にもつながっています。
ERPの導入を検討している方の中には、さまざまな疑問を持っている方も多くいます。ここではERPの導入に関するよくある質問を3つ紹介します。
疑問を解決するために役立ててください。
ERPには、以下のシステムが統合されている場合がほとんどです。
主なシステム | 機能 |
生産管理システム | 生産計画、製造プロセス管理など生産に関連する業務プロセスを効率化 |
販売管理システム | 見積の作成や注文の受け入れと処理、売上記録と請求書発行 |
購買管理システム | 発注の処理と納品スケジュールの管理や出荷・納品の管理 |
在庫管理システム |
製品や管理場所の在庫数を管理、データと現物の数量の管理、抱える在庫を出荷量に合わせて調整・最適化 |
会計システム | 取引情報の管理および経営最適化のための財務情報の管理 |
人事給与システム | 採用管理や人事評価、給与計算など、従業員の一連の人事情報を管理、人的資源の活用、最適化 |
労務管理システム | 勤務スケジュールの作成や有給休暇管理、労働時間記録など労務に関す管理 |
ただし、ERPによっても統合されているシステムは異なるため、自社で最も必要なシステムを検討して業務の効率化が図れるERPを選びましょう。
ERPの導入にかかる期間は会社の規模や業種によっても異なります。一般的には中小企業がERPを導入する際の必要期間は3ヵ月〜9ヵ月程度です。
また、事業規模が大きな大企業の場合は1年〜1年半程度の期間が必要となる場合があります。完全に導入が完了するまでに比較的長い期間が必要であるため計画的に導入を進めましょう。
ERPの導入が失敗してしまう原因は、ERPの導入が目的となっているパターンです。ERPは製品によっても特徴が異なります。
そのため、ただ導入するだけでは業務の効率化につながりません。ERPを導入する際は、会社の現状を把握してどのような課題を改善したいのかを明確にして導入することが大切です。ERPを導入する目的を明確にすることで失敗を防げるでしょう。
ERPを導入することで、企業内のさまざまな業務の効率化や経営の意思決定の迅速化などメリットが豊富です。ただし、導入や運用にはコストが必要となるため費用対効果を検討しながら導入を検討しましょう。
本記事ではERPを導入する際の具体的な流れも紹介しました。導入手順を把握してERPをスムーズに社内へ取り入れてください。
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