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ストレスチェックの施行を見据え、メンタルヘルスで情シス向け支援も-情シスの「目」ニュース

「情シスって、本当に報われない……」
誰にも言えない、そんな言葉がふと胸に浮かぶとき、ありませんか?
システムは動いて当たり前。トラブルがあれば即対応。

技術も知識も最新を求められるのに、理解も共感も得にくい。

多くの企業で「メンタルケア」が注目される今、縁の下の力持ちの情シスこそケアされるべき存在なのではないでしょうか。

この記事では、厚労省の取り組みや企業のメンタルケアの実情を、情シス目線で紐解いていきます。

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■情シスの「目」ニュース「キャッチアップポイント」

①情シスは高ストレスリスク層:複雑な業務と人間関係はメンタル不調の原因に。
②ストレスチェックが義務化へ:2028年までに全事業場が義務の対象になります。
③情シスは自分自身のケアと支援の両立を:専門サービスとITを活用して健やかな働き方を目指しましょう。

■情シスの「目」ニュースとは?

月曜日の朝にお送りする「情シス『目』ニュース」では、日々発信されるさまざまなトピックスを情シス・エンジニアの方々向けに「再解釈」した情報を掲載中。AI、働き方、経済など幅広いニュースをピックアップし、業務に役立つほか、つい同僚に話したくなる面白い話題まで身近で自分事化しやすくお届けします。

         

働く人のメンタルヘルスの実情

労働力人口の減少による人手不足や、AIなどの技術革新による業務の高速化などで、働く人々の心の負担は年々大きくなっています。

厚生労働省の調査によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した、または退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%にのぼります。

その中でも、情シス部門と共通点が多い情報通信業では、実に32.4%もの労働者がメンタル不調を訴えている状態です。

この割合は全産業の中でもっとも高く、IT従事者のメンタルヘルス対策は急務の課題と言えるでしょう。

企業のメンタルヘルスへの取り組み

社会問題にもなっている働く人のメンタルヘルス不調ですが、企業の対策はどうなっているでしょうか。厚生労働省の調査によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.8%となっています。

内訳を見てみましょう。

・ ストレスチェックの実施:65.0%
・ 職場復帰における支援(職場復帰支援プログラムの策定を含む):25.1%
・ メンタルヘルス対策に関する事業所内での相談体制の整備:45.0%
・ 医療機関を活用したメンタルヘルス対策の実施:10.0%

2015年12月より、労働者50人以上の事業場では「ストレスチェック」が義務付けられています。2025年5月の法改正により、公布から3年以内(2028年5月まで)に50人未満の事業場でも義務化されることが決まっています。

こうした取り組みが進んでいる一方で、メンタル不調による休職や退職は減る気配がありません。

なぜ情シスはつらい? 特有のメンタル負荷と要因

なぜ情シスをはじめ、IT従事者のメンタル不調が多いのでしょうか。
それは、業務上の特色に要因がありそうです。

人間関係のストレス

・ 経営層、他部署のITリテラシー不足「こんなこともできないの」「なんでできないの」という質問にモヤモヤ。
・ 板挟みになる立場での疲弊。要望(現場)と予算(経営)、部門間の要望のズレ、境界業務の押し付け合いの調整にぐったり。

責任重大な業務のプレッシャー

・ システムは動いて「当たり前」。止めることは許されません。
・ 緊急対応、24時間休日関係なく呼び出されることも。
・ 巧妙化するサイバー攻撃への対応とセキュリティリスクとの闘い。
・ 異常な速さの技術革新、常に新しい知識やスキルを習得し続けなければなりません。

環境の不足

・ ひとり情シス・人手不足による業務負担の増大。
・ レガシーシステムによる非効率な運用。

強いストレスに断続的にさらされている情シス部門のみなさんは、より丁寧にメンタルケアをする必要があるでしょう。

情シス向けメンタルケアの取り組み事例

このような情シス特有の課題に対して、専門的なサポートサービスも登場しています。
例えば、ひとり情シス協会では「ASAP」というメンタルヘルスサポートプログラムを提供しています。

このプログラムは、ひとり情シスや少人数体制で働く情シス担当者に特化していて、3種類の心理検査と、臨床心理士・公認心理士によるカウンセリングを実施、その結果をアセスメント報告書として提供しています。
カウンセリングや心理検査はリモート(Zoom)での対応が可能です。

同協会では、メンタルケア以外にも情シス担当者向けの基礎知識セミナーなど、情報システムの課題解決に役立つ情報を幅広く提供しています。
こうした専門的なサポートも、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

情シスだからこそできる! 企業全体のメンタルケア貢献

「ストレスチェック」は、紙やExcelによるチェックシートのほかに、厚生労働省より「ストレスチェック実施プログラム」が提供されています。

「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」導入サイト

このプログラムはパソコンにインストールする必要があります。
自社で導入する場合は、情シスのサポートが必要です。

昨今の技術の進化により、AIを使ったストレスチェックサービスも増えています。
AIによるメンタルチェックには多くのメリットがあります。

・ 24時間いつでも受けられる
・ プライバシーへの配慮
・ 音声・表情解析により誤魔化せない診断が可能
・ 診断待ちがないから早期発見、早期ケアが実現
・ 必要に応じて、専門家に繋がることもできる

自社への導入だけでなく、ご自身の健康のためにも、個人でAIメンタルチェックを試すのも良いかもしれません。

まとめ

企業にとって、情シスは重要な業務を担う、かけがえのない存在です。
そして、情シスのみなさんにとっても、会社は簡単に辞めることができない大切な場所でしょう。

お互いにとって重要で大切な存在である双方を守るためにも、メンタルヘルスを健やかに保つことは、何よりも重要な仕事の一つです。

システムのエラーが小さいうちに解消すべきであるように、メンタル不調も放置すれば大きな問題に発展しかねません。

そうなる前に、早め早めの対処を心がけましょう。

著者:おちあいなおこ
製造・卸・物流を扱う企業で情報システム部に所属。現場とともに走る情シスを目指し、日々現場に足を運び情報収集にいそしむ。基幹システム、Webアプリケーションの選定・導入・運用経験多数。もっと多くの企業の業務を改善したいという想いから独立。バックオフィスの伴走型支援を中心に、Webライターとしても活動中。

(TEXT:おちあいなおこ、編集:藤冨啓之)

 

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