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新入社員全員に「AI研修」到来か!?生成AIスキルは情シスのキャリア格差につながる?–情シスの「目」ニュース

月曜日の朝にお送りする「情シス『目』ニュース」では、日々発信されるさまざまなトピックスを情シス・エンジニアの方々向けに「再解釈」した情報を掲載中。AI、働き方、経済など幅広いニュースをピックアップし、業務に役立つほか、つい同僚に話したくなる面白い話題まで身近で自分事化しやすくお届けします。

今回の注目ニュースは、JPモルガン・チェースが「新入社員全員を対象にAIに関する研修を実施する」 と発表したしたことです。その内容はプロンプトエンジニアリングスキルの養成などがあり、プロンプトエンジニアリングスキルは、近年注目を浴びている生成AIを活用する上で非常に役立つでしょう。その意義や今後の期待、そして情シスやエンジニアの方々にぜひ「受け止めてもらいたいこと」について深堀しましょう。

■情シスの「目」ニュース“キャッチアップポイント”

①情シス社員は、意外と生成AIなど新しい技術に精通していない
②生成AIは、「コードやスクリプトを書けない」「DXのアイデアが思いつかない」といった情シス社員特有の課題を解決してくれる
③生成AIは、情シス社員としてキャリアアップを目指す上でも有効
④AIに限らず、時代をリードする企業が自社社員に実施している研修内容はチェックする価値がある

         

JPモルガン・チェースが新入社員全員にAI研修を実施

AIの活用を重視する企業のひとつに、アメリカの大手銀行、JPモルガン・チェースがあります。米国の大手総合情報サービス会社「bloomberg」によると、JPモルガン・チェースは、新入社員全員を対象にプロンプトエンジニアリングに関する研修を実施すると発表しました。

ここで、プロンプトおよびプロンプトエンジニアリングについて簡単に解説します。

プロンプトとは、対話形式のAIシステムにおいて、ユーザーが入力する指示文や質問文のことです。そしてプロンプトエンジニアリングとは、AIシステムからユーザー自身が求めている出力を得られるよう、プロンプトを設計・調整・最適化するプロセスのことです。

AIシステムの出力はプロンプトによって大きく左右されます。そのため、プロンプトエンジニアリングスキルは、AIシステムから短時間で高精度の出力を得たい場合に欠かせないスキルと言えます。

近年、このプロンプトエンジニアリングが注目されていますが、その背景には生成AIの台頭があります。生成AIとは、あらかじめ学習した大量のデータにもとづいて、ユーザーが必要とするコンテンツを瞬時に生成するAIシステムのことで、「ChatGPT」が有名です。

この生成AIは、ビジネスパーソンの間で主に次のようなシーンで活用されています。

・メールやマニュアルなどの雛型作成
・Web記事要約
・英文翻訳
・プログラムコード作成
・新企画のアイデア出し

情シス社員は意外と新しい技術に精通していない?

JPモルガン・チェースはAIの活用により、「情報を探す時間の短縮」「機械的な作業の排除」といった成果を得ていると言います。1日あたり2-4時間の時間節約を実現しているスタッフもいるとのことです。

さて、情シス社員であるあなたは、自身の業務でAIを活用しているでしょうか? それこそ、生成AIとプロンプトエンジニアリングを活用して何らかの成果を得ているでしょうか? 実際のところ、そもそも知見自体がないということはありませんでしょうか?

情シス社員は、社内ではITの専門家という位置付けであるため、一見、AIにも精通しているようにも思えます。しかし意外なことに、生成AIなど新しい技術に知見がない方も少なくありません。事実、株式会社ソフトクリエイトが情シス部門を対象に調査している「数字で見る「情シス」の実像 」によると、AIの活用状況について「動いていない」もしくは「模索中」と回答した割合が約70%となっています。

この状況の原因として考えられるのは、情シス社員は「社内のIT何でも屋」としての役回りを求められることが多い職種だからということです。
システムインテグレータやソフトウェアメーカーのエンジニアであれば、様々なシステム・アプリケーションの開発業務を通して、また様々なエンジニアとの関わりを通して、あらゆる技術に触れることができるでしょう。

一方で「社内のIT何でも屋」としての役割を求められる情シス社員は、

・携わるのは社内で使っているシステム・アプリケーションだけ
・関わる人物は自社社員がメイン
・社員用パソコンのセットアップなど定型業務が多い
・社内ヘルプデスクや備品管理など高度な技術を必要としない業務が多い

といったケースが少なくありません。

そう、情シス社員は、社内という限定された範囲で、非技術的な業務も含めたあらゆる業務に携わる必要があるため、新しい技術に触れる機会が少ない傾向にあるのです。

AIで解決できる情シス特有の課題

これまで、生成AIやプロンプトエンジニアリングについての知見がなかった情シス社員にとって、JPモルガン・チェースのニュースはインパクトがあったかもしれません。「情シス社員である自分よりも、どこぞの銀行員のほうがAIを使いこなしている」、実際にこのような状況は起こり得ます。

生成AIは様々な課題を解決できるため、積極的に取り入れたい技術です。情シス社員特有の課題として次のようなものがありますが、いずれも生成AIが役立ちます。

・新システム導入時の各種文書作成に手間がかかる
・コードやスクリプトを書けない
・DXのアイデアが思いつかない

新システム導入時の各種文書作成に手間がかかる

自社で新しいシステムを導入する際、情シス社員は情報提供依頼書(RFI)や提案依頼書(RFP)、見積依頼書(RFQ)といった文書を作成する役割を担います。しかし、新しいシステムの導入自体が頻繁に実施されるものではないため、「各種文書作成に手間取ってしまう」といったことが往々にしてあります。その点、生成AIを活用すれば、導入するシステムの内容に応じて各種文書の雛型を出力してくれます。作業に取り掛かりやすくなりますし、労力も大幅に削減することができます。

コードやスクリプトを書けない

情シス社員は、コードやスクリプトについてしっかりと勉強する機会がないケースも少なくありません。そのため、「いざというときにコード・スクリプトを書けず困ってしまう」といったことが往々にしてあります。その点、生成AIを活用すれば、そのまま使用できるコード・スクリプトを出力してくれます。JavaやPython、SQL、Bashなど、主要な言語であれば問題なく対応可能です。

DXのアイデアが思いつかない

情シス社員は、上層部からDXのアイデア出しを求められることがありますが、「なかなか画期的なアイデアが思いつかない」といったことが往々にしてあります。その点、生成AIを活用すれば、指定した数だけアイデアを出力してくれます。もちろん、そのまま採用できるアイデアがない場合もあるかもしれませんが、画期的なアイデアを生み出すきっかけにはなるでしょう。

このように、情シス社員特有の課題は、生成AIでも解決することができます。もちろん、プロンプトエンジニアリングスキルを備えていることが前提となりますが、生成AIをうまく活用することにより、業務効率を大幅に高めることができるのです。

なお、生成AIスキルは普段の業務だけでなく、キャリアアップにも寄与するスキルです。

生成AIスキルを高め、それで業務を効率化できれば、新しい技術や自分が得意とする技術を学ぶための時間を確保しやすくなります。もちろん、そもそも生成AIスキル自体が時代に求められているスキルです。

これからの時代、生成AIスキルを備えている情シス社員はキャリアアップしやすくなるでしょう。

時代をリードする企業が社員に何を学ばせているか、常にアンテナを張っておきたい

「情シス社員は意外と生成AIなどの新しい技術に精通していない」

心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

生成AIをはじめとしたAIは、これからのビジネスシーンにおいてますます重要性を増していくと考えられます。JPモルガン・チェースのような時代をリードする企業が新入社員全員にAI研修を実施するというニュースは、正にその重要性を物語っています。

情シス社員であれば、なるべく最新のAIに関する知見を備えておくことをおすすめいたします。社内でも社外でも気になる研修があれば積極的に受けてみましょう。なお、AIに限らず、「時代をリードする企業が自社社員に対してどのような研修を実施しているか」、これはチェックする価値があります。

例えば、ソニーグループサイバーエージェントと いったトップ企業は社をあげたAI研修やリスキリングをスタートしているという報道もあります。

その研修内容は自身の業務でも役立つ可能性があると考えられます。「自分は新しい技術に触れる機会が少ない」という自覚のある方ほど、革新的な発見を期待できるのではないでしょうか。時代に乗り遅れないよう、常にアンテナを張っておくようにしましょう。

著者:松下一輝
大学院修了後、ITエンジニアとして大手システムインテグレータに入社。通信キャリアを顧客とする部署に配属され、業務システムやWebアプリケーションなどの設計・開発業務に従事する。その後、文章を書く仕事に興味を持ち、ライターに転身。ITやサイエンス、ビジネスといった分野の記事を執筆している。

(TEXT:松下一輝 編集:藤冨啓之)

 

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