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【情シスの星 #022】星さん、インフルに!?「○○さんだけ」が抱えるリスク

         

今週の業務日誌(当番:七星)

お疲れ様です。七星です。入社前は会社の仕事ってもっと明確な線引きとか決まったやり方があって、それに沿って進めていけばいいのかなと思っていたのですが、実際に働き始めてみると、一回しかないような流動的な作業がたくさんあるので、全ての作業のマニュアル化ってなかなか現実的ではなさそう、と思い始めてます。特に星さんがひとり情シスの頃から手がけている部分には、数年に一度レベルでしか起こらない問題も細々とたくさんあるみたいなので、星さんしかわからないことっていうのを少しずつ減らしていくのが今後の課題であるっていうことが今回の星さんの病欠で改めて浮き彫りになった気がします。(そして星さんのすごさを改めて感じました!)

私たちの部署では、それなりに役割分担がはっきり分かれているので、属人化という意味では特に注意が必要かも知れません。金融機関だと、不正防止の意味もあって一定期間以上担当者が職場を離れることが義務付けられていたりするそうですけど、担当者がいない状態でも全ての業務が滞りなく回るようにしておくためにもこれに似た制度はどんな職場にもあった方が良いのかも知れませんね。(でも、私しかできない仕事があるってちょっとかっこいいので、憧れちゃったりもします。)

寒い日が続きますが、読者のみなさまが体調を崩されませんように。それではまた!

(情シス部 七星美月)

星さん、インフルに!?「○○さんだけ」が抱えるリスク

みなさん、こんにちは。「情シスの星」編集部です。今日もおつかれさまです。金曜日の朝にお送りする「情シスの星」では、情報システム(情シス)部門の日常を通して、業務の裏側に迫ります。

これまでの情シスの星シリーズ ▶︎

「この仕事は特定の人しかできない」「詳しい人がやったほうがはやく終わる」こんな声、あなたの情シス部でも聞こえていませんか?本日は漫画のエピソードから「属人化」の問題について考えていきましょう!

「この仕事は○○さんでなければ……」の問題点

IT人材が人手不足に陥りがちという話は、みなさんもどこかしらで耳にしたことがあるかと思います。実際に、経済産業省が発表した『IT 人材需給に関する調査』では、2030年にはIT人材の需要と供給の差が最大で約79万人にまで拡大する可能性があると試算されています。

IT人材の供給動向の予測と平均年齢の推移

(出典:「参考資料(IT人材育成の状況等について)」経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課

DXの波もあり、仕事の幅が広がる一方で、IT人材は人手不足が進んでいるのが現状です。人材の流動性が高まっていることも相まって、IT人材確保の難易度は上がっていると捉えられるでしょう。

このような背景もあり、高い専門性が求められる情シス部門ではなおさら属人化の傾向が強くなりがちです。属人化にはたしかに、ひとりの担当者が深い専門知識を磨くことで、スキルアップや業務の生産性向上につながるというメリットも存在します。

しかし反面、「⚪︎⚪︎さんでなければこの業務は成り立たない」という状態は、業務改善の妨げとなるばかりか、異動や退職などのリスクもはらんでいます。たとえば、特定の誰かにすべてが依存してしまうと、急な休暇や退職時に業務が完全にストップしてしまう可能性があるのです。さらには、属人化されている人材にとっては、体調面や精神面の負担が増加してしまうという問題点もあります。

属人化を打破するためのアクションとは

属人化のリスクを軽減するための手段はいろいろあります。

たとえば、業務の可視化です。具体的には、各業務の流れや担当者の役割を明確にし、誰でも確認できるようにドキュメントやマニュアルにまとめます。また、属人化している業務の原因を究明し、どこにボトルネックがあるかを洗い出すことも重要です。

そのほか、業務の標準化・自動化の検討を行うことや、アウトソーシングも有効な手段でしょう。

現実的な対応策

日頃の小さな取り組みとして考えると、業務の可視化を行い、ナレッジを組織全体で蓄積する文化を作ることも、長期的な業務改善と担当者の負担軽減につながります。

見える化の成功事例として、株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズの事例を紹介します。同社では、データ集計や分析のロジックがブラックボックス化してノウハウの共有が進まないという課題に直面していました。そこで、ウイングアーク1stの製品「MotionBoard」と「Dr.Sum」を導入し、既存の定型レポートを動的なダッシュボードへ移行。日次でデータを閲覧できる環境を整えた結果、若い世代への継承に寄与しました。

また、情シス部門においては、「この業務は本当に専門人材でなければできないのか?」という切り分けも必要です。たとえば、問い合わせ対応や定型作業など、誰でもできる業務は積極的に外部委託や自動化ツールに任せ、内部リソースはDX推進や新規システム構築など、専門性が求められるコア業務に集中することが求められます。

情シスの未来を守るためにできること

「この仕事は⚪︎⚪︎さんでなければできない」という属人化の現状は、短期的には効率的に感じられるかもしれません。しかし、長期的に見れば業務改善が進まず、担当者に過剰な負担がかかり、組織全体のリスクを増大させます。

業務の見える化、標準化、自動化、そしてアウトソーシングを組み合わせた多角的な対策によって、属人化のリスクを軽減し、情シス部門の未来を守っていきましょう。

それでは、今回のまとめです。

【学ぶべき3つのポイント】

①業務の属人化は生産性の低下とリスク増加を招く
特定の担当者に依存すると、欠員時に業務が止まり、引継ぎが困難になります。

②業務の標準化、自動化、アウトソーシング等の手段を検討する
業務手順の文書化やITツールの導入等により、誰でも業務を遂行できる体制を整えられます。

③まずは見える化やナレッジの蓄積に取り組む
業務の可視化やを行い、ナレッジを組織全体で蓄積する文化を作ることから始めましょう。

これからも、「情シスの星」シリーズを通して、星さんの奮闘とともに情シスのリアルをお届けします。それでは、また来週、金曜日の朝10:00にお会いしましょう!


イラストレーター:ユアサミズキ
鳥取県出身、福島県いわき市在住のイラストレーター。
カーオーディオ/カーナビメーカーにて商品企画/商品戦略業務に10年間 従事し、2010年に独立(というか脱サラ)。福島県を拠点にイラストレーター・グラフィックデザイナーとして活動中。ウェブサイトやSNSでは ほぼほぼ毎日、イラスト絵日記として1コマ漫画を掲載しています。それがきっかけで今回の「情シスの星」にもつながったので、継続ってやっぱ大事だな~と思っているところ。
シンプルゆるめなイラストの他、力強い線で描くスタイルや、繊細な線による女性画など、幅広くご活用いただいています。
https://mizdesk.com
 
編集・ライター:七瀬ユウ
新卒で大手Slerに入社し、基幹システムの開発・プロジェクトマネジメント業務に従事。WEB広告企業でセールスライターの経験を経て、2021年にWebライターとして独立。オウンドメディアのSEO記事制作や、SNS運用代行、Kindleプロデュースなどを担う。情シスのじかんでは企画立案から執筆、編集を担当。
 

(漫画:ユアサミズキ、編集:情シスのじかん)

 

知られざる情シスの生態、日常へようこそ
『情シスの星』

情報システム(情シス)部門に潜む、知られざる情シスの生態、日常を描いた漫画シリーズ情シスの星。本連載は、毎週金曜日の朝10時に配信予定です。金曜日は、一週間の締めくくりでありながら、週末への心の切り替えが始まるちょっと特別な日。「あるある〜」と頷いたり、日々の業務に役立つヒントを得たりしながら、情報システム(情シス)部門に携わる方に楽しく読んでいただける連載を目指します。

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