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レガシーシステムという名前を聞いたことはあるものの、どのようなものなのかよく分からない方もいると思います。扱っているシステムが古くなっている場合には、さまざまな問題が発生しやすくなっている恐れがあり、将来的にトラブルが起こる可能性があります。
この記事では、レガシーシステムを詳しく解説します。2025年の崖や5つのメリットだけではなく、レガシーシステムから脱却し、成功を収めた3社の事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
レガシーシステムとは、今では扱える人が少ない技術や過去の仕組みで作られており、最新の技術との連携が難しいものです。
1980年代には、多くの企業がこぞってメインフレームやオフィスコンピュータを導入しました。しかし、導入したものが古くなったため、現在は1980年代に導入されたが、今は古くなってしまったシステムをレガシーシステムと呼ぶことが多いです。そもそも、レガシーには「古い」の意味があるため、レガシーシステムの反対語や対義語は、新システムとなります。
システムを新しくしようとすると、高額な費用がかかってしまうため、現在でも導入からかなりの期間が経ったものを使い続けている企業は多いです。また、古い技術が用いられているため、エンジニアの高齢化により、メンテナンスや運用が可能なエンジニアが少なくなっている問題もあります。
前章では、レガシーシステムを使い続けている企業が多いことを解説しました。実は、多くの企業が古くなったシステムを使い続けてしまうと、「2025年の崖」と呼ばれる大きな問題につながってしまいます。
「2025年の崖」とは、古いシステムを使い続けることによってDXが進まないと、2025年以降に1年間で最大12兆円の経済損失が生じる問題です。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、最新のデジタル技術を有効活用し、企業活動を変革させることです。
古くなったシステムの中には2025年付近でサポートが終了するものがあることや、固定電話網PSTNの終了などの影響から、古い状態での利用を続けていると市場の変化に対応できなくなる可能性があります。そのため、DXが進まないと経済損失が生じてしまいます。
レガシーシステムには「2025年の崖」と呼ばれる問題があることを解説しました。それに加えて、以下の5つの課題や問題点もあります。
次に、レガシーシステムの5つの課題や問題点をそれぞれ解説します。
古い技術が使われていると、システムの全体像が見えない状態になっている場合が多いです。また、全体像が見えない状態をブラックボックス状態とも呼びます。
その状態では、特定の人材しか扱えないため、古いままで使い続けてしまうと、担当のエンジニアしかシステムに触れなくなってしまいます。このように業務の属人性が高まりすぎてしまうと、担当者が退職してしまった場合、企業への大きなダメージとなるでしょう。
古くなったシステムを使い続けると、障害が発生するリスクが向上します。
レガシーシステムには古い技術が使われているため、処理能力に問題が発生する可能性が高いです。さらに、自社にサーバーを設置している場合には、設備の老朽化による障害のリスクも考えられます。また、システムがブラックボックス化している場合には、復旧に時間がかかるでしょう。
変化する市場への対応が困難なことは、企業経営の大きな問題となります。
インターネットが発展した昨今では、市場の変化が速くなっています。そのため、最新の技術やノウハウを取り入れることは、企業経営で重要な要素です。古くなったシステムでは、多様なIT技術を活用できない場合が多いため、市場の変化への対応が困難です。
レガシーシステムの多くは、今後サポートの終了を予定しているものが多く、サポートを延長して受ける場合や自社でエンジニアを雇って対応する場合には、高いコストが必要です。
そのため、他のリソースにかけれらるコストを古くなったシステムに充てるのは、もったいない状況です。
古いシステムは、最新の技術を取り入れられない場合が多く、DXを進める上での足かせになります。
DXは「2025年の崖」を対策するだけでなく、市場の変化に対応したり、セキュリティを強化したりするために必要です。そのため、DXが困難であると、企業の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。古いものから新しいシステムへの移行を検討してもよいでしょう。
前章では、古くなったシステムの課題や問題点を解説しましたが、そもそもレガシーシステムが生まれてしまう要因はどこにあるのでしょうか。その要因には、以下の3つが挙げられます。
次に、レガシーシステム化が進行する3つの要因をそれぞれ解説します。
システムの全体像を把握できなくなってしまうと、レガシーシステム化が進行する要因になります。
全体像が把握できなくなるのは、度重なる修正や更新により、担当者しかシステムの全体像を理解できなくなることが原因です。そして、システムを理解している担当者が退職してしまうと、全体像を理解できる人材がいないため、システムの全体像が不透明になってしまいます。
会社の規模が大きくなると部署ごとにシステムの部分的な最適化を行いますが、それが要因でレガシーシステム化が進行することがあります。部分的な最適化を繰り返し行うと、システムが複雑になってしまいます。さらに、システムを全体的に最適化する場合や、新しいものに移行する場合には、障害となるでしょう。
システム開発を外部の企業に委託している場合にも、レガシーシステム化が進行しやすいです。
自社に開発ができるエンジニアがいなければ、外部の企業に業務を委託します。しかし、開発を委託すると自社にノウハウが溜まらず、システムの理解度が下がり、レガシーシステム化が進行する要因となります。
レガシーシステム化が進行する要因を解説しましたが、この問題から抜け出す方法には、以下の2つが挙げられます。
次に、レガシーシステムから抜け出すための2つの方法をそれぞれ解説します。
マイグレーションとは、システムやデータを新しい環境へ移行させることです。
昨今では、社内にサーバーを設置してシステムを構築するオンプレミス型から、クラウド上にシステムを構築するクラウド型へ移行する企業も多いです。システムをクラウド化できれば、設備の老朽化の心配がなくなるだけでなく、設備の維持コストも削減できます。
モダナイゼーションとは、最新のシステムを用いて業務フローを最適化することです。モダナイゼーションには、主に以下の3つの手法があります。
手法 | 説明 |
リビルド | 既存のシステムを軸に、再構築する |
リライト | 既存システムのアプリケーションはそのままに、プラットフォームやハードウェアなどを移行する |
リホスト | プログラミング言語を新しいものに変更する |
自社のシステムが抱える課題によって、用いる手法が異なります。また手法によって必要なコストや期間が変わるため、モダナイゼーションを行う場合には、課題や目的を明確にしましょう。
前章では、古くなったシステムからの脱却方法を解説しました。しかし、レガシーシステムからの脱却を成功させた企業はあるのでしょうか?この記事では、以下の3社の成功事例を紹介します。
それでは、レガシーシステムからの脱却を成功させた3社の事例を詳しく見ていきましょう。
一つ目の事例は、株式会社NTTドコモです。携帯電話の販売で有名なNTTドコモでも、システムが古くなったことによる問題がありました。
当時、NTTドコモが使用していたデバイス管理システムは、20年以上使用していたため、老朽化や最新のものと比べて使いづらい課題がありました。
そこで、新しいシステムへ移行した結果、開発業務の効率化や使いやすさの向上につながっています。さらに、システムの使いやすさは、従業員のモチベーションアップの効果もありました。
鮮魚専門店を運営している角上魚類ホールディングス株式会社も、レガシーシステムの脱却に成功した企業の一つです。
同社は、市場での買い付けや発注に関する業務を手作業で行っていました。その結果、誤発注や誤配送などのミスが多発していたため、業務システムのデジタル化に乗り出します。
システムのデジタル化により、業務フローに大きな変化はない状態で、ミスを減らせました。また、紙でのデータ管理が減少し、ペーパーレス化にも成功しています。
最後に、建設機械や農作業機器の開発・販売を行う株式会社クボタの事例を紹介します。
同社は、日本国内のみならず、海外にも製品を販売している企業です。海外のクライアントのサポートは、現地のエンジニアが行っているため、担当者によってサポートの質にムラがありました。そこで、故障を診断できるアプリケーションを開発し、スキルや経験に差があっても同等の診断を可能としました。その結果、属人性を解消し、サポートの質を向上させています。
レガシーシステムとは古い技術や仕組みで構築されたシステムで、1980年代に多くの企業が導入したメインフレームやオフィスコンピュータを、レガシーシステムと呼ぶことが多いです。
日本国内でも多くの企業が古いシステムを使い続けていますが、このままレガシーシステムによってDXが進まないと、2025年以降に1年間で最大12兆円の経済損失が生じる「2025年の崖」と呼ばれる問題があります。
2025年の崖以外にも、業務の属人化やシステム障害が発生するリスクが向上するなどの問題がレガシーシステムにはあります。自社でもレガシーシステム化が進行している場合には、新しいシステムへの移行を検討してみてください。
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