

はじめに、中小企業の情シス部門の戦略的業務に関する現状について、ソニービズネットワークス株式会社の調査レポートを参考に解説します。
同調査レポートによると、中小企業の情シス部門は問い合わせ対応業務の負荷が高く、戦略的業務に十分な時間を割けていないのが現状です。具体的には、問い合わせ対応によって戦略的業務に充てる時間の不足を実感している情シス担当者は8割以上にのぼります。

※出典:ソニービズネットワークス株式会社「情報システム部門の84.3%が「戦略的業務の時間不足」を実感、7割以上が週1回以上同じ問い合わせに対応」
同調査では、「週に1回以上」、これまでと同様の問い合わせを受けている情シス担当者が7割以上いることが明らかになっています。

※出典:ソニービズネットワークス株式会社「情報システム部門の84.3%が「戦略的業務の時間不足」を実感、7割以上が週1回以上同じ問い合わせに対応」
また、「自身が不在のときに他メンバーが問い合わせ業務に対応できるか」という問いに対して、「2割以下」しか対応できない回答が15%以上となっています。

※出典:ソニービズネットワークス株式会社「情報システム部門の84.3%が「戦略的業務の時間不足」を実感、7割以上が週1回以上同じ問い合わせに対応」
これらのことから、多くの中小企業の情シス部門が、問い合わせ対応をはじめとするナレッジの構築や蓄積、共有に課題を抱えていることが分かるでしょう。

先ほどの調査結果のとおり、多くの中小企業の情シス部門が問い合わせ対応に追われて戦略的業務に十分な時間を割けていない状況ですが、情シス部門は今後どのように対処していけばよいのでしょうか。
ここでは、中小企業の情シス部門が戦略的業務により多くの時間を割くためのポイントについて、3つの具体的なアクションを紹介します。
「過去にもあった簡単な質問」が問い合わせ対応で多くの時間を割いているのが実態です。まずは頻出する上位の問い合わせ(例:パスワードリセット、VPN接続手順、プリンタ設定など)に絞り、画像付きの簡易マニュアル(FAQ)を整備しましょう。
いきなり完璧を目指さず、まずはWordや既存のグループウェアの掲示板などで十分です。そして重要となるのが作成後の運用です。問い合わせが来たら回答するのではなく、「ここに手順があります」とURLを案内する運用に変えましょう。
最初は事務的に捉えられてしまうかもしれませんが、ユーザーの自己解決力を高めることが、結果として情シスの時間を生み出します。
「〇〇さんに聞かないとわからない」という問い合わせの属人化は、情シス部門にとって大きなリスクです。これを防ぐため、電話やDM(個人チャット)での依頼受付を原則禁止し、チケット管理ツールやビジネスチャットの「公開チャンネル」へ一本化しましょう。
「誰が・何に・どう対応したか」がチーム全体に見えることで、担当者不在時でも他のメンバーが履歴を見て対応可能になります。また、対応履歴そのものが自然とナレッジベースとして蓄積され、引き継ぎや新人教育のコストも大幅に削減されます。情報は個人の頭の中ではなく、チームの共有場所に置く文化を作ることが大切です。
「情シスでなければできない仕事」以外は手放す勇気が必要です。特に負担の大きい「PCキッティング(初期設定)」や「一次受けヘルプデスク」は、アウトソーシングの費用対効果が非常に高い領域であるといえます。
コスト面で外部委託が難しい場合は、業務プロセスの「標準化」に注力しましょう。例えば、PCの機種を統一してクローニングの手間を減らす、Windows Autopilotなどを活用してゼロタッチ導入を目指すなどです。
浮いたリソースを本来注力すべきセキュリティ対策や業務効率化の企画などへ投資することが、会社全体の利益につながります。

中小企業の情シス部門の多くが、戦略的業務に十分な時間を割けていない課題を抱えています。その主な要因として、問い合わせ対応業務の負荷の高さが挙げられ、同じ問い合わせの繰り返しや問い合わせ対応の属人化なども問題となっています。
戦略的業務により多くの時間を割くためには、まずは簡易的な画像付きのマニュアル(FAQ)を整備し、FAQの可視化とURLの案内を行っていくことが重要です。また、個人宛ではなく部門全体として対応履歴を共有し、属人化を防いでいくことも求められます。
加えて、負担の大きいPCキッティングや一次受けヘルプデスクなどのアウトソーシングを検討する、PCの機種統一やWindows Autopilotなどの活用により業務プロセスの標準化を行うといった点にも注力していきましょう。
(TEXT:まにほ、編集:藤冨啓之)

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